なつかしいケーキ
「上がパリパリのケーキ」
そう覚えていたのは
キャラメリゼされたアイスケーキだった。
お店の名前はもちろん、
母が切り分けてくれたので
大きいままの姿も覚えていない。
ただ、カットされて
自分のお皿にのったとき、
とてもキラキラしたものに見えてたこと、
特別だったことだけは記憶にある。
31歳の誕生日
母から届いたそのなつかしいケーキに
家族4人の思い出が蘇った。
風景と味と、
幼かった自分、
甘いものが好きな母。
小さい幸せが四角いケーキに詰まってたこと。
そして今日は私が切り分ける。